Japanese
English
特集 緊急手術の手技・Ⅰ
横隔膜ヘルニア
Diaphragmatic hernia
森田 建
1
,
岡部 郁夫
1
Ken MORITA
1
1日本大学医学部第一外科
pp.1237-1241
発行日 1969年9月20日
Published Date 1969/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204934
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
横隔膜ヘルニアは,横隔膜に生じたヘルニア門を通じて腹腔内臓器が胸腔内に入り,呼吸・循環障害や消化器症状をきたすものであるが,その症状の強さや発現の速さは原因疾患によつて異なり,手術の緊急度にも差異を生ずる.
先天性横隔膜ヘルニアのなかでも最も頻度の高い胸腹裂孔(Bochdalek孔)ヘルニアは,大部分がヘルニア嚢を欠く仮性ヘルニアである関係上,生後間もなく重篤な呼吸・循環障害をきたし,緊急手術によらない限り,本症の大半が新生児期ことに生後数日以内に死亡することが明らかにされており,横隔膜ヘルニアのなかでは緊急手術を要する代表的なものとなしうる.新生児期以降では緊急手術の必要性は少なくなるが,常に呼吸障害が急性増悪しうることを心得えておく必要がある.横隔膜挙上症(弛緩症)では保存的療法が優先するが,生後早期には呼吸障害が急激に強くなり,緊急手術を要することも少なくない.
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.