My Operation—私のノウ・ハウ
低位前方切除術
福島 恒男
1
,
大木 繁男
1
,
土屋 周二
1
1横浜市立大学医学部第2外科
pp.625-630
発行日 1986年5月20日
Published Date 1986/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209323
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適応と手術
低位前方切除術(low anterior resection)は直腸癌に対して直腸の切除を後方すなわち会陰や仙骨側から行つていた各種の手術方法(posterior resection of the rectum)に対して,開腹して腹腔内で直腸を切除して,吻合する術式を指している.正確には直腸前方切除術であるが,直腸が省略され,慣用されている.前方切除術のうち腹膜翻転部を境にしてそれより口側で結腸と直腸が吻合される場合を高位前方切除,肛門側で吻合される場合を低位前方切除術と呼ぶこともある.しかし低位前方切除術は直腸を肛門挙筋まで遊離して吻合すると規定している報告もある1).さらに直腸をほぼ全摘除し,肛門管あるいは膨大部下部と結腸を吻合する方法は最低位前方切除術2),あるいは超低位前方切除術3)と呼ばれたり,coloanal anastomosisによる前方切除術とも呼ばれている.
低位前方切除術でいちばん大切なのは癌の根治性を高めるために切除,郭清範囲を設定すること,次に小骨盤腔内での結腸,直腸吻合を確実に行い,術後の排便機能を確保し,あわせて排尿や性機能についても可能な限り維持するように配慮して行くことである.
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