My Operation—私のノウ・ハウ
非定型的根治的乳房切断術—AuchinclossとPatey
泉雄 勝
1
1群馬大学医学部第1外科
pp.793-798
発行日 1985年6月20日
Published Date 1985/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209039
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適応と手術
近年,比較的早期の乳癌例に対する根治術式として,胸筋切除を行わないで腋窩郭清を行う術式が行われるようになつた.この非定型的根治的乳房切断術(以下非定型手術とする)modified radical mastectomyは,大・小両胸筋を温存する手術(Auchincloss)と,小胸筋を切除し大胸筋を温存する手術(Patey)の2法に大別される(その他の変法もあるがここでは省略する).本手術の目的は,根治性を下げることなく,胸壁の変形を少なくして美容を配慮し,機能の保持に努めるということにある.従つて胸筋保存という条件下での腋窩郭清の徹底,完全治癒をはかるため,対象となる症例をより早期のものに限定するという適応の設定が重要である.外国では放射線照射への依存を考えるため,適応を定型手術と同様に設定する研究者もあるが,わが国では,手術のみで完全治癒をはかれる症例を適応とする考え方が多い.
現在一般的には,Auchinclossでは非浸潤癌から腫瘤径2cm(T1)まで腋窩はN0かN1a(ふれても柔らかいもの)までとするものが多い.Patey手術ではこれより郭清度が高いため,stage Ⅱ(研究者によりTを3cm迄とする)をその対象とするものが多い.
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