原典を繙く・7
「Dieulafoy潰瘍」原著の翻訳を終えて
島津 久明
1
1東京大学医学部第1外科
pp.789-791
発行日 1985年6月20日
Published Date 1985/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209037
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
本誌前号までの6回にわたつて,Dieulafoy潰瘍の原著1)とされている講演記事の全訳を試みたので,最後に,その後の文献も参照しながら,この潰瘍について訳者なりの若干の考察をつけ加えることにしたい.この原著に限つていえば,診断や画像記録の技術の未発達な前世紀末のものであるために,切除胃の肉眼所見や病変部の組織所見が手書きのスケッチであつたりして,物的証拠の面でやや迫力を欠く物足りなさは否めない.また病態や発生病理の解釈において,現在の知見からみて明らかな誤りと考えられる部分もあるが,反面,臨床的な考え方や知識に関しては,すでに相当に高いレベルのものが身につけられていることに驚かされる.
以下に,いくつかの基本的な問題点をとりあげて述べることにする.
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.