特集 がんの集学的治療をどうするか
肝臓癌
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岡本 英三
1
Eizō OKAMOTO
1
1兵庫医科大学第1外科
pp.182-183
発行日 1984年2月20日
Published Date 1984/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208552
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国立がんセンター・肝臓グループは臨床・研究でも優れているが,キャッチフレーズ・メーカーとしても優れたものがある.肝区域のサクランボ理論,生血漿療法のオドリ療法などである.今回山崎らの基調論文を拝見し,またまた新しいキャッチフレーズが生れた感が深い.「肝癌治療は肝硬変治療の一環である」は肝癌治療のおかれた特殊な環境を言い表わして妙である.
肝硬変治療は元来内科医の手にゆだねられて来た.経過中に肝癌を併発,あるいは静脈瘤出血を来たすと外科へ送られて来たが終局に近いことを意味した.10年前までは肝を切るだけで確かに「偉業」であつた.とても遠隔成績まで言々できる所ではなかつた.ところがTAEの出現は肝癌治療に大きいセンセイションを引起こした.山田1)は肝癌研究会の全国集計をもとに,TAEの遠隔成績は「切除不能?」の肝癌ばかりを治療対象としているのに,肝切除成績よりも良好であると度々発表した.肝癌は外科へ送るべきか放射線科へ送るべきかと内科医を真剣に悩ませるに至つた.
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