Japanese
English
特集 胃・十二指腸潰瘍
成因と病態に関する最近の知見
Recent aspects on the etiology and pathogenesis of peptic ulcer disease
川井 啓市
1
,
井口 秀人
1
Keiichi KAWAI
1
,
Hideto INOKUCHI
1
1京都府立医科大学公衆衛生学教室
pp.1563-1567
発行日 1983年11月20日
Published Date 1983/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208474
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はじめに
消化性潰瘍は良性疾患でありながら,治癒と再発を繰り返す独特の自然経過や,患者数の多さからみて,通院治療,入院による時間的・経済的損失は大であり今なお重要な疾患である.
これまでにレントゲン,内視鏡検査などの診断法,各種刺激剤および採液方法による胃液検査法の進歩や,さらには近年の消化管ホルモンに関する知見の飛躍的増大や治療薬としてのH2—recep—tor antagonistの登場などによる病態生理学上の研究も著しい進歩をみせている.しかし,消化性潰瘍の成因に関しては現時点でも不明な点が多く定説はないといえる.しかも成因を論ずる上で問題を複雑にしているのは,同じ潰瘍と言いながら十二指腸潰瘍もあれば胃潰瘍もあり,またその発生場所もさまざまで,その上,急性潰瘍と慢性潰瘍とが同じ消化性潰瘍というcategoryの中に含まれている点である.
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