カラーグラフ 臨床外科病理シリーズ・2
Barrett食道に合併した多発腺癌
板橋 正幸
1
,
廣田 映五
1
,
飯塚 紀文
2
,
平嶋 登志夫
3
1国立がんセンター病理
2国立がんセンター外科
3国立がんセンター内科
pp.176-177
発行日 1983年2月20日
Published Date 1983/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208232
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Barrett食道とは,粘膜が円柱上皮で覆われた下部食道を意味し,食道潰瘍・狭窄に伴うことが多いとされている.1950年Barrettが最初に記載したが,当時は先天性食道短縮により篏頓した胃粘膜と考えられた.しかし,その後食道自体の粘膜として再認識されている.一方,食道の悪性腫瘍のうちで腺癌は稀であり,国立がんセンター食道悪性腫瘍切除例1,346例中6例に相当する.さらにBarrett食道とそれに合併した腺癌例という報告は,日本では極めて稀である.しかし,欧米では,Barrett食道は,日本以上に高頻度に認められるようで,癌の前駆病変(precancerous condition)として注目されつつある.その意味で本症例は一見の価値があろう.
症例:71歳,男性,主訴・粘血便
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