Japanese
English
臨床研究
橋本病と悪性腫瘍の合併例の検討—その診断の難しさについて
Diagnostic difficulties of malignant thyroid tumor associated with Hashimoto's disease
原田 種一
1
,
谷口 達吉
1
,
中西 由理
1
,
平塚 正弘
1
,
高橋 達雄
1
,
大向 良和
1
,
妹尾 亘明
1
,
大塚 信昭
2
Tanekazu HARADA
1
1川崎医科大学内分泌外科
2川崎医科大学核医学教室
pp.125-130
発行日 1983年1月20日
Published Date 1983/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208226
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はじめに
過去において,すなわち1950年代の後半に,橋本病が代表的な自己免疫疾患として脚光を浴びる以前では,橋本病(本論文では狭義のびまん性甲状腺炎を意味する)に対する認識が薄く,甲状腺癌との鑑別が難しかつたため,手術が強行されていた時期があつた.
しかし橋本病に対して切除術を行うと,術後甲状腺機能低下症に陥ることが多く,最近では診断技術の進歩に伴い,組織診断のための試験切除以外は手術の対象とはされていない.ただ,悪性甲状腺腫が合併していると考えられる症例は例外である.橋本病に腫瘍が合併している場合,腫瘍の存在が橋本病によつてマスクされているため,その診断が難しく,手術を行うべきか否か判断に迷う場合が多い.そこでわれわれの経験例を検討し,腫瘍合併例の診断の困難性について述べてみたい.
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