特集 術後1週間の患者管理
Appleby手術
小西 敏郎
1
,
片山 憲恃
1
,
丸山 雄二
1
,
和田 達雄
1
1東京大学医学部第2外科
pp.493-497
発行日 1981年4月20日
Published Date 1981/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207653
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Appleby手術は胃悪性腫瘍に対する胃全摘術あるいは胃噴門側切除術の際に完全なR2のリンパ節郭清をおこなう術式で,腹腔動脈および総肝動脈を切離し,さらに膵体尾部・脾臓合併切除をおこない,腹腔動脈周囲リンパ節の徹底的郭清をおこなう手術である.従つて通常の胃全摘術あるいは胃噴門側切除術の術後管理に加うるに肝動脈系の血流減少に伴う肝・胆道系への影響,膵断端への注意,脾摘による血小板の増多に留意する必要がある.
肝動脈血流量の減少による肝機能の異常は術直後から3日目までが著明であり,少なくともこの間は酸素テント内で比較的安静に保つことが望ましい.胆道系および残存膵の虚血性変化によると思われる急性壊疸性胆嚢炎や膵液瘻の発生を認めることもあり,手術時にドレーンの留置部位に留意すると共に術後もドレーンからの流出物に十分注意しなければならない.
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