特集 術後1週間の患者管理
胃全摘術
田中 乙雄
1
,
武藤 輝一
1
1新潟大学医学部第1外科
pp.487-491
発行日 1981年4月20日
Published Date 1981/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207652
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胃全摘術の対象となる患者は,癌腫のために貧血,低栄養状態にあり,さらに老人では高血圧,糖尿病等に加え心,肺,肝,腎などの予備能力が減少していることが多い.しかも今日上部胃癌などの進行癌に対しては,積極的に開胸または胸骨正中切開下に広範囲なリンパ節郭清や周囲臓器の合併切除がなされるようになり,その手術侵襲は,はなはだ大きくなつてきた.したがつて術後は綿密な管理が必要である.
術後管理のチェックポイントは,術直後〜24時間は,ショック,後出血,2〜4日目は肺合併症,4〜7日目は縫合不全となり,これら合併症の発生を予防するため,術後は,麻酔および手術侵襲による循環血液量,水分および電解質平衡,酸塩基平衡の乱れを早めに補正し,十分な酸素療法,吸入療法,肺理学療法を行なうとともに,これら合併症を念頭において管理することが重要である.
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