特集 術後1週間の患者管理
甲状腺癌手術
河西 信勝
1
1癌研究会付属病院頭頸科
pp.439-442
発行日 1981年4月20日
Published Date 1981/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207643
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定型的な甲状腺癌手術における,特異的な合併症として,①反回神経損傷による嗄声,誤嚥,呼吸困難,②上皮小体損傷によるテタニーおよび③甲状腺亜全摘または全摘に伴う機能低下がある,しかし甲状腺癌手術が拡大されるに従つて,さらに種々の合併症を伴つてくる.すなわち,④内頸静脈切除,⑤胸鎖乳突筋切除,⑥副神経切断,⑦頸神経切断,⑧迷走神経切断,⑨リンパ本幹切断,⑩横隔神経切断,⑪交感神経切断,⑫総頸・外頸動脈切断,⑬鎖骨下動脈切断,⑭椎骨動脈切断,⑮舌下神経切断,⑯喉頭・甲状軟骨の部分切除または全摘,⑰気管の部分切除あるいは切除,⑱下咽頭・頸部食道の部分切除あるいは切除,などの問題があり,これら拡大手術の内容は往々にして,耳鼻咽喉科領域にまたがるため,この対応に苦慮することも多い.いずれにしても,これら合併症は時に致命的問題を発生することがあり,術後管理上大切である.
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