Japanese
English
外科医の工夫
癌末期大量腹水に対する腹腔・大静脈シャントの経験
Peritoneo-Venous shunt for intractable ascites in the patients of far advanced carcinoma
樋上 駿
1,2
,
沢田 寿仁
1,2
,
池永 達雄
1,2
,
秋山 洋
1,2
,
吉場 朗
3
,
熊田 博光
3
,
竹内 和男
3
,
小宅 映士
3
,
西蔭 三郎
4
,
和田 孝次
4
Shun HINOUE
1,2
1虎の門病院消化器外科
2冲中記念成人病研究所
3虎の門病院消化器科
4虎の門病院病理学科
pp.1469-1475
発行日 1980年10月20日
Published Date 1980/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207539
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はじめに
癌の治療には現在,手術,放射線,化学,免疫の4療法が主なものであるが,癌末期患者における大量腹水に対しては,これらが無効の場合が多い.制癌剤の腹腔内注入は癌性腹膜炎による腹水貯溜に対してはしばしば効果的であるが,massiveな肝転移による腹水貯溜に対しては効果が極めて少ない.利尿剤投与も効果が少ない.しかし患者にとつて大量の腹水貯溜は耐えがたい苦痛である.
このような内科的治療でコントロール不可能な癌末期肝転移による大量腹水患者に対し私どもは,脳外科領域で水頭症患者に用いられるone-way valveを使つて腹腔・大静脈シャント(以下P-V shunt)を作成し,腹水を持続的に静脈系に流し,患者の腹満感を軽減しえたので報告する.
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