特集 術後1週間の患者管理
小腸大量切除術
池永 達雄
1
,
沢田 寿仁
1
1虎の門病院消化器外科
pp.511-515
発行日 1981年4月20日
Published Date 1981/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207656
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小腸大量切除術が行なわれる対象疾患は,絞扼性イレウス,悪性腫瘍による小腸の広範な浸潤,腸間膜の腫瘍,クローン病,腸間膜動脈血栓症などであるが,いずれにしても腸管通過障害を伴う例が多く,しばしば低蛋白血症,低アルブミン血症,貧血の認められるままで,時に水分および電解質平衡,酸塩基平衡も乱れたまま緊急手術となることもあるので,術後にはこれらの乱れをできるだけ早く補正して,正常に近づける努力を払わねばならない.
小腸が大量切除される場合には,しばしば回盲弁および大腸の一部が切除されることがあり,また小腸瘻が造設されることもあつて,術後早期より頻回の水様性下痢をみることが多く,他方,小腸大量切除術後には胃液分泌の亢進がおこることも多いので,水分および電解質の喪失には十分注意しなければならない.
術直後の経口摂取は,下痢を増悪させるので絶食とし,もつぱら経中心静脈的に栄養を補給せねばならない.
吻合部の縫合不全は致命的であるので,ドレーンからの滲出液の性状に気をつける.
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