特集 これだけは知っておきたい手術の適応とタイミング—注意したい疾患45
癒着性イレウス
脇坂 順一
1
,
溝手 博義
1
1久留米大学医学部第1外科
pp.857-862
発行日 1979年6月20日
Published Date 1979/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207192
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■なぜ内科治療とのControversyになるか
イレウスとはいろんな原因によつて,腸管の内容が通過障害をきたした場合をいう.その症状として全身的症状のない腹痛,腹部膨満,排便・排ガスの杜絶,悪心,嘔吐などの腹部症状があげられる.本症は早期に適切な処置と治療を開始しなければその予後は極めて不良である.
イレウスは衆知のように,機械的イレウスと機能的イレウスに分けられ,機械的イレウスの原因となるもののうちで最も頻度が高いのは術後の癒着性イレウスであり,イレウス全体の約半数を占めるようである.抗生剤や麻酔の進歩によつて,開腹術が安全となり,その症例数も増加しているが,これと平行して開腹術後の癒着性イレウスの症例も増加してきている.教室の統計1,2)でも,機械的イレウスのうち,先天性イレウス,腸重積症を除くと,その91.3%は開腹術後の癒着によるものであつた(表1).
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