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気管支造影検査は,呼吸器の特殊検査の中で患者に大きな苦痛を強いる検査であるが,広く一般に普及している.その事実は,この検査が非常に診断価値の高いものである事を示すもので,適切な気管支造影剤がなかなか入手し難くなつてしまつた最近でも,目的にかなう正しい造影を行なえば,豊富な情報を与えてくれる検査法である.ここでわれわれの行なつている気管支造影法を紹介し,この検査法の意義について再考した.
□方 法 われわれの所では,町田製フレキシブル気管支カテーテルをルーチンの造影検査に利用している.これには径6mmの一般造影用と径5mmの超選択造影用の2種のカテーテルがあり,先端部が屈曲自在なので,TV透視下に手元のハンドルを操作しながら,気管へ挿入し,各区域支,亜区域支に容易に入れることができる.また余分な太い気管支の造影剤を吸引することもできる.まず2%キシロカインで,喉頭麻酔をネブライザーにて行ない,カテーテルを口腔より気管内に挿入する.次にX線TV透視下に患側肺の各区域支を順に,2%キシロカインを注入しながら麻酔する.麻酔量は総計10〜15mlにとめるー造影剤は水性ディオノジールを使用し,あらかじめ断層写真より読みとつた病巣気管支に選択的にカテーテルをウェッジして,造影剤を圧入後,体位を原則として6方向に変えてスポット撮影を行なう.この時,造影剤の注入量に十分注意して肺胞像をつくらぬようにする−肺胞像になつてしまうと病巣気管支の所見は読み難くなる.肺野末稍の微小な病巣の場合には,造影を細気管支レベルまでで1度止め,その所見をスポット撮影後,更に肺胞像あたりまで造影剤を圧入した写真をもう1度撮影してこれらのスポットフィルムを比べると,病巣気管支の所見を正確に読むことが出来る.ルーチンではスポット撮影後更に患側肺全体を原則として造影し,6方向の写真をとる.これにより,局所病巣の変化のみならず,肺全体の病像を正確に把握しうる.撮影中は咳嗽反射をさせぬよう細心の注意を払う必要がある.
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