カラーグラフ 消化器内視鏡シリーズ・34
Mallory-Weiss症候群
奥山 山治
1
1東大老人科
pp.614-615
発行日 1978年5月20日
Published Date 1978/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206942
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□Mallory-Weiss症候群と類縁病変
嘔吐や咳などで腹腔内圧が急激に上昇すると,時に食道や胃に種々の病変が生ずるが,中でも多いのは裂創である.裂創の深さは多くの場合粘膜下層までであるが,まれに穿破(rupture)をきたすこともある.食道穿破をきたした場合はBoerhaave症候群として知られている.裂創そのものはMallory-Weiss lesionといわれ,これを出血源として顕出血をみた場合はMallory-Weiss症候群といわれる.図①〜④は胃噴門部の裂創の内視鏡写真で,同一症例を経過観察したものである.図①は出血期,図②は開放期,図③は線状期,図④は瘢痕期である.粘膜筋板の断裂を伴う開放型の裂創は以上のような治癒経過を示す.図⑤は粘膜筋板の断裂を伴おない裂創の内視鏡写真である.Mallory-Weiss症候群の切除胃を検索すると,粘膜下解離や粘膜下血腫がみられることが少なくない.図⑥は裂創の辺縁にみられた粘膜下血腫で,裂創は写真左端にみられる.図⑦のように粘膜裂創を伴わない粘膜下血腫がみられることもある.
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