特集 良性腫瘍
臨床
気管・気管支・食道の良性腫瘍
池田 茂人
1
,
小野 良祐
1
,
金子 昌弘
2
,
江口 研二
3
1国立がんセンター内視鏡部気管食道科
2北里大学医学部放射線科
3国立がんセンター放射線科
pp.865-872
発行日 1977年10月20日
Published Date 1977/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208572
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
気管,気管支および食道に原発する良性腫瘍は,いずれもきわめて稀な疾患であり,しかもその種類は多様であり,頻度も各臓器により大きく異なつている。気管では軟骨腫,乳頭腫,線維腫が多く,肺門部の気管支もほぼ同様であるが,肺末梢部では,過誤腫,硬化性血管腫がそのほとんどをしめている。食道では平滑筋腫がほとんどをしめ,残りはポリープ,乳頭腫,脂肪腫などとなつている。
臨床症状の現われ方もその発生部位により異なつており,肺末梢部発生のものではほとんど自覚症状はなく,食道も約半数は自覚症状はなく,あつても軽度のことが多い。気管および肺門部の気管支発生のものでは比較的早期から気管支の刺激症状が出ることが多いが,X線写真で陰影を呈して来ることは稀で,喘息,肺気腫などと誤診されている例も少なくない。
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.