Japanese
English
特集 術後呼吸障害とその管理
急性呼吸障害
Acute respiratory failure in adults
高橋 徹
1
,
桂田 菊嗣
1
Toru TAKAHASHI
1
,
Kikuji KATSURADA
1
1大阪府立病院救急医療専門診療科
pp.481-488
発行日 1978年4月20日
Published Date 1978/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206927
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はじめに
術後に起こる呼吸機能の障害には,種々の原因がありその予防には十分な注意が払われねばならない.特に術前より慢性肺疾患がある場合には,手術を引き金として急性増悪により呼吸不全におちいる危険も考慮する必要があることは当然である.一方,これとは別にもともと肺機能には全く異常をみとめていないのに,大手術後や重度外傷のあと24時間から数日にかけて急に著明な呼吸機能障害を呈する症候群が最近10年たらずの間に注目されるようになつた.手術や重度外傷にかぎらず,敗血症をはじめ一般の疾病に伴い出現してくることも認められる.この場合,原因の如何をとわず,肺自体の病理学的所兄および治療法の共通性により,これをARDS(Adult RespiratoryDistress Syndrome)と呼ぶことが一般的になつてきた.
ショックやショック様状態に伴い直接生命をおびやかす他の疾患として,血管内凝固症候群(DIC)や急性尿管壊死(ATN)がそうであつたように1)ARDSも命名学的には実にさまざまな名称を与えられてきた(表1).
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