徹底分析シリーズ ガスメディエータの未来
COの基礎と臨床への応用―諸刃の剣であるCOを麻酔科医は使いこなせるか?
川西 進
1
,
高橋 徹
2
Susumu KAWANISHI
1
,
Toru TAKAHASHI
2
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 麻酔蘇生学分野 津山中央病院 救命救急センター
2岡山県立大学 保健福祉学部 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 麻酔蘇生学分野
pp.1294-1299
発行日 2012年12月1日
Published Date 2012/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101700
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一酸化炭素carbon monoxide(CO)が致死性の有毒ガスであることは言うまでもない。しかし,哺乳動物の生体内で微量に産生される内因性のCOの存在は,半世紀前から知られていた。当初はこの内因性のCOは,単なる代謝産物と考えられていたが,近年,生理的あるいは病態生理において,重要な役割を担っていることが明らかになってきた。生体侵襲時には,内因性COの産生が増加し,生体防御機構に貢献している可能性も示唆されている。
ステロイドホルモンに代表されるように,内因性物質を必要時に外部から補うという治療法は,きわめて生理的なものである。COも生体内で産生され,侵襲からの保護作用をもつのではないかと指摘されるに至り,治療ガスとして期待されるようになってきた。一方で,その毒性はきわめて強く,無色無臭のために取り扱いも難しいことから,生体にとっては諸刃の剣である。
本稿では,COの生体内での役割,さらには治療ガスとしての臨床応用の可能性について概説する。
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