Japanese
English
特集 目でみる話題の消化器手術
ヒルシュスプルング病のMartin手術
New techniqus in the Martin operation for Hirschsprung's disease
梶本 照穂
1
,
中村 紘一郎
1
Teruho KAJIMOTO
1
,
Kohichiro NAKAMURA
1
1金沢医科大学小児外科
pp.1543-1548
発行日 1977年12月20日
Published Date 1977/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206861
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
この手術の意義と適応
意義 近年のわが国におけるヒルシュスプルング病の治療成績は,めざましく向上しており特殊な合併奇型や合併症を有していない症例においては,ほとんどが満足な機能的予後をえて社会生活を送つているものも多い.しかし特殊な病型としてのentire colon aganglionosis, extensive aganglionosisにおいては,腸管の運動機能よりも消化吸収の問題解決の方がより重要な治療目的となるのである.「aganglionic colon segmentは消化吸収の面では利用するに足るのか?,そうであれば如何なる方法で利用したらよいか?」が多くの小児外科医の関心事であつた.
1968年Martin1)は全結腸と小腸の約1/2に及ぶaganglionosisの症例に対して,新しい術式を創案して成功したことを報告し注目をあびた.その骨子は肛門側大腸を温存してこれを小腸と側々吻合し,残存結腸に水分の吸収を担当させ小腸による運動性でもつて腸管としての機能の両面を維持させるところにある.以来日本でもこの術式は数施設で種々の工夫がなされ,modifyした型で試みられている.私どもが調べ得たところでは,10例の施行例のうち7例が救命されている.教室においては,1975年以来3例の経験を有しており,全例救命しているのでこれらの経験から術式について私どもの工夫も交えながら述べる.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.