整形外科を育てた人達 第62回
Martin Kirschner(1879-1942)
天児 民和
1
1九州大学
pp.984-987
発行日 1988年8月25日
Published Date 1988/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907924
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Martin Kirschnerは整形外科医ではない.世界的にも有名な外科医である.しかし四肢の外科には大きな貢献をしている.特にKirschnerの考案したDrahtextensionの装置は今日も盛んに用いられ,これに使用する細い鋼線は耐錆性も強く色々な骨折手術に使用されK-wireと言われている.又,1936年私の留学中各地の大学を訪れたがHeidelbergではKirschner教授にも会って手術の見学もした.その後Munchenに行きMax Lange教授に会って色々と話をしていた時に私がHeidelbergでKirschnerの手術も見学して来たと言ったところ,Max Langeは突然KirschnerはOrthopaeden Fresserだと言う.その理由は整形外科の領域を食い荒すからだと説明するのを聞いたが,半世紀を過ぎた今日でもその時のことを時々思い出している.KirschnerはKocherと同様に四肢の外科に多くの業績を残しているので整形外科の進歩に無視できない外科医である.
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