今月の主題 消化管潰瘍—診断および治療の現況
X線診断のコツ
小腸X線検査の現状
平塚 秀雄
1
1平塚胃腸病院
pp.1033-1036
発行日 1975年6月10日
Published Date 1975/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206072
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はじめに
胃腸バリウムX線検査の基本的概念は検査部位を充満し,あるいは二重造影法にて明瞭な像を確実にとらえることであろう.しかし小腸という長い管腔臓器に,胃,大腸の確立されたルーチン検査法と同様の考え方をそのままもちこむことはできない.すなわち胃,大腸は数分間内にその全体にわたって充満し,あるいは二重造影法を行うことができるが,小腸は一気に充満することは不可能で,またバリウムの頻回分割投与法などによりたとえ充満造影できたとしても,小腸は重畳,錯綜しやすい臓器であるだけにその重なりが強く,微細な検索の目的にはしばしば不適当となる
一方,小腸全体を漸次充満していく,いうゆる追いかけ検査は,種々の係蹄を漸次充満するのを観察し,あらゆる部分,そして僅かなる部分も十分に観察できるという点でやや理想に近づいた検査法であろう.しかし充満時に常に圧迫を加えていかないと確実な診断ができないという煩雑さがあり,常に透視,撮影というたきな労力と箸しいX線被曝量が要求される.またバリウム進行の先端を追いかけながら異常がチェックされたとしても,この時点では二重造影法に移行することは難しい.
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