Japanese
English
特集 乳癌—最近の趨勢
マンモグラフィー,ゼロラジオグラフィー,超音波,サーモグラフィーによる診断
A view of diagnosis of breast cancer:diagnosis by mammography, xeroradiography, ultrasonic examination and thermography
高橋 勇
1
Isamu TAKAHASHI
1
1東京医科歯科大学第1外科(現・都立駒込病院外科)
pp.645-651
発行日 1975年6月20日
Published Date 1975/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206252
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
表在性臓器である乳腺の癌を診断するには内臓の癌に比べて視,触診が極めて重要であり,基本的なものといえる.現在でも,時として,単に視診のみでも明らかな乳癌と断定し得るものもあるが,乳癌の大部分は,乳腺内の,単なる腫瘤,しこりのみが唯一の症状となるものである.乳腺腫瘍の鑑別にあたつては,形や硬さ,周囲組織との関係,peau d'orange, dimplingなど,乳癌診断に関する臨床的特徴が,教科書に記載されている如き典型的なものであれば,触診によつても診断は比較的容易である.しかし,これらの所見の多くは,ある程度進行した乳癌においては明瞭なものであつても,早期と考えられる微小な乳癌では診断は決して容易ではない.
このため確診困難な症例に対して,客観的判定の資料や情報を得るため,従来から乳癌を主体とした乳腺疾患の診断方法として種々の補助診断法が考えられてきた.このうち,マンモグラフィーは,乳癌のレントゲン診断として既に古くから行なわれ,多くの研究があり,現在ではもつとも有力な理学的補助診断法として広く施行されている.超音波検査法が,乳癌の診断に用いられるようになつたのは,比較的近年であるが,とくにわが国では盛んに利用されている方法の1つてある.サーモグラフィーによる乳癌の診断は,外国では熱心にとり上げられ,有力な検査法とされており,わが国でも用いられるようになつてきた.なお,特殊なレントゲン診断法の1つとしてゼロラジオグラフィーがあるが,以下これら理学的補助診断法について概観する.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.