特集 乳癌—最近の趨勢
EDITORIAL
乳癌—最近の趨勢
阿部 令彦
1
Osahiko ABE
1
1慶応義塾大学医学部外科
pp.643-644
発行日 1975年6月20日
Published Date 1975/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206251
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腫瘍宿主よりみた比較検討
日本における乳癌の発生状況を罹患率より調査することは困難であるが,死亡率よりみると年次別にみて僅かではあるが上昇の傾向を辿りつつある.日本の死亡率は英・米国のそれぞれ約1/7,1/6にあたり,現在のところ死亡率は低い.しかし生活様式の欧米化に伴い日本における胃癌の死亡率が漸減し,大腸癌のそれが漸増し,また肺癌では,近年死亡率が急激に増加して,臓器別にみた癌の死亡率が欧米型に近づきつつある現状を眺めると,将来乳癌の死亡率が増加するのではないかとの推察がなされる.現在の日本の乳癌の状態を,腫瘍宿主の面より欧米と臨床的,基礎的に比較検討することは,上述の意味で重要である.このようなneedから,乳癌についての国際的研究の気運が生まれ,現在それが実行にうつされつつあることは,臓器癌よりみた乳癌最近の趨勢の1つといえる.
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