特集 動脈硬化-その成り立ちと臨床検査
6章 動脈硬化性疾患の生理学的検査
3. プレチスモグラフィー,サーモグラフィー
宮澤 幸久
1
,
富原 健
2
,
小須田 美和
2
Yukihisa MIYAZAWA
1
,
Ken TOMIHARA
2
,
Miwa KOSUDA
2
1帝京大学医学部臨床病理学
2帝京大学医学部附属病院中央検査部
キーワード:
動脈硬化
,
閉塞性動脈硬化症
,
無侵襲診断法
,
足関節血圧/上腕動脈血圧比
Keyword:
動脈硬化
,
閉塞性動脈硬化症
,
無侵襲診断法
,
足関節血圧/上腕動脈血圧比
pp.1447-1451
発行日 2004年10月30日
Published Date 2004/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100617
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はじめに
近年,「生活習慣病」という概念が一般に受け入れられ,特に食習慣という面から,動脈硬化症は糖尿病とならんで最も注目される疾患の1つとなった.動脈硬化が進むと,虚血性心疾患,脳血管疾患,大動脈瘤などを引き起こすことになるため,動脈硬化を診断するための検査が注目を集めている.動脈硬化度を無侵襲的に評価する方法には生理学的検査と画像診断があり,脈波速度(pulse wave velocity;PWV),超音波断層法(duplex scanやcolor Dopplerを併施)がそれぞれ代表的な検査である.
動脈硬化を原因とする疾患のなかで,下肢に慢性の動脈閉塞症を呈するものが閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterans;ASO,上肢では比較的稀)であり,他の動脈硬化性疾患と同様,近年増加傾向にある1).診断にはまず下肢動脈拍動の触診を行い,閉塞性動脈疾患の存在が疑われれば,ドプラ血流計を用いた足関節血圧/上腕動脈血圧比(ankle brachial pressure index;ABPI)測定から検査を進めていく.欧米では血管疾患に対する認識が高く,古くからvascular laboratoryを中心に検査が行われてきたが,わが国でも閉塞性動脈疾患に対して,前述の検査のほか,プレチスモグラフィー,サーモグラフィー,アイソトープを用いた検査,トレッドミル運動負荷試験,近赤外線分光法などの無侵襲診断法が活用されるようになってきた.
本稿では動脈硬化性疾患,特に閉塞性動脈硬化症におけるプレチスモグラフィー,サーモグラフィーの意義について述べる.
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