--------------------
最近の基礎膏の趨勢について
小堀 辰治
1
1東京逓信病院皮膚科
pp.269-274
発行日 1950年7月1日
Published Date 1950/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200367
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.まえがき
膏藥外用療法は皮膚科では有力な治療法であることは昔も今も變りがない。現在我々が使用している膏藥療法は,故土肥慶藏先生が完成せられたものと考えるが,その源はKaposiあたりに出ていると思われる。我々は既に40年近く,その型式をほぼ踏襲して日常の診療に從事し,その間この膏藥療法で効果のあがらない場合,その膏藥様式を變えようとしないで,注射や理學的療法で,その缺を補おうと努力して來たのである。
由來,膏藥療法と言うものは,經驗的な療法であつて,我が國では,昔は家傅の藥として珍重せられた。その傾向は科學の發達した今日でも同樣であつて,實驗を基礎とした膏藥療法はなく,從つて,その發達は遅々として今日に至つているのである。治療界に於て最も古い歩みをつゞけているものは,實にこの膏藥療法であると言つても過言ではない。
Copyright © 1950, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.