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特集 呼吸器疾患におけるプロテオミクス解析の現状と将来
プロテオミクス解析と疾病について―定量的プロテオミクス法の最近の趨勢
The Application of Quantitative Proteomic Analysis to Disease Researches
深田 慶
1
,
佐古田 三郎
1
Kei Fukada
1
,
Saburo Sakoda
1
1大阪大学大学院医学系研究科神経内科学
1Department of Neurology, Osaka University Graduate School of Medicine
pp.1279-1286
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100497
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はじめに
分子生物学を語るうえでタンパク質の振る舞いを解析することの必要性はいまさら改めて言及するまでもないであろう.そのなかでも特に疾患関連タンパクの発見は,疾患の病因・病態の解析,診断マーカー,治療効果判定など,われわれの最終目標である疾患の制圧に直接的な意味合いをもつ.
本稿では,プロテオミクス,そのなかでも定量的プロテオミクスの手法につき解説する.プロテオミクスとはある試料中に存在するタンパク質を網羅的に同定する手法であるが,定量的プロテオミクスとは,タンパク質を網羅的に同定すると同時にそれらすべてを定量する手法のことを言う.実際は2つ以上の試料を比較し,タンパク質の濃度比を測定することになる.すなわち「定量」という言葉はここでは「絶対的定量(試料A中のタンパクXの濃度=○○mg/mlなど)」ではなく「相対的定量(試料Aと試料Bに含まれるタンパクXの濃度比は1:2であるなど)」を指す.このような相対的定量を試料に含まれる数百・数千のタンパク質に対して行うことにより,疾患特異的タンパクを捕捉しようという手法である.
以下ではまず現在よく用いられている定量的プロテオミクスの手法について解説する.続いて後半では試料調整の工夫について解説する.
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