Japanese
English
特集 外科と血栓
人工臓器における血栓の問題
Thrombus in artificial organs
桜井 靖久
1
,
井街 宏
2
Yasuhisa SAKURAI
1
,
Kou IMACHI
2
1東京女子医大理論外科
2東京大学医学部医用電子研究施設
pp.1293-1299
発行日 1974年11月20日
Published Date 1974/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206140
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Ⅰ.人工臓器における血栓形成
人工臓器は,人工的な合成材料でつくられており,生体にとつては異物である.生体を構成している高分子と,合成のポリマーとの違いを,いろいろの観点からまとめてみると,第1表のようになる.血液は,異物に接すると凝固するのが通例であり,したがつて,血液と直接に触れる部分を有する人工臓器においては常に血液凝固・血栓形成のおこる可能性があり,これが人工臓器の実用上の大きな障害となつていることは周知の通りである.第2表におもな人工臓器と,そこにおいて血栓形成が問題となる部分とをまとめてみた.
人工心肺を用いて体外循環した後に,ときに発生する脳・肺・腎などの機能障害の原因の一つとして,微小塞栓が考えられている1).このmicro-emboliを構成している主体は血小板の凝集したものであるという2).近年,実用化しつつある膜型人工肺において,血液と酸素との接触面積を増すためにキャピラリー型や中空線維型などが考案されているが,この場合には血栓による血液通路の閉塞が大きな問題となる3).
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