外科学温故知新・5
人工臓器
末田 泰二郎
1
Taijiro SUEDA
1
1広島大学大学院医歯学総合研究科病態制御医科学講座外科学
pp.53-58
発行日 2006年1月20日
Published Date 2006/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100329
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1 はじめに
人工臓器とは,機能が荒廃した臓器の代用を果たすために人工的に作製した代替医療機器である.体内に植え込んで使用する場合もあるし,体外で一時的に使用して臓器機能を代行するものもある.人工臓器は,人工腎臓などの代謝系人工臓器,人工弁,ペースメーカーなどの循環器系人工臓器,人工骨頭などの運動器系人工臓器,眼内レンズ,人工内耳などの感覚器系人工臓器に分類される.
1950年代に高分子材料の開発が進み,腎不全に対する人工透析を手始めとして人工臓器研究が飛躍的に進歩した.外科学の分野においては,人工臓器は治療機器として多数使用されている.本稿では,人工臓器が最も多く治療に用いられている心臓血管外科分野で,人工心臓,人工弁,ペースメーカー,除細動器の開発研究を中心に,(1)人工臓器の開発の経過,(2)現在開発が進んでいる人工臓器,(3)人工臓器の将来展望について概説する.
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