Japanese
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特集 外科医のための臨床検査
外傷と臨床検査
Laboratory examinations for the traumatized patients
須藤 政彦
1
Masahiko SUDO
1
1済生会神奈川県病院 神奈川県交通救急センター外科
pp.1367-1374
発行日 1973年10月20日
Published Date 1973/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205897
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はじめに
外傷例に対する必要な,あるいは可能な臨床検査が受傷部位,程度,救急を要する度合いなどによつて異なることは当然であろう.たとえば頭部外傷では一般的には損傷の部位・程度の診断が第1となり,その結果しばしば発生する呼吸障害は重要ではあつても呼吸循環面の障害程度を第1に捉えようとすることは少ないのに対し,胸部外傷では呼吸と循環の状況を知ることは非常に重要なこととなる.また最重症例では血型,クロスマッチとそれに加えて胸部レ線程度の術前検査がやつと行なえるのみというものもあるのに対し,一方では十分な臨床検査を行なう必要があり,またその時間的・体力的余裕のある症例も多い.そして臨床検査も必要最少限の検査,できればやつておきたい検査,外傷学研究のための検査などいろいろの段階に分けることができよう.
本稿では臨床研修中の外科医を対象として,われわれが現在,日常の外傷例に対して行なつている臨床検査にもとづいて,腹部外傷を中心に主として受傷から数時間ないし十数時間以内の術前状態の把握に主眼をおいて述べることにしたい.術後の検査については他の場合とほぼ同じであり,損傷初期の問題が特に外傷の特徴を示していると考えられるからである.
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