Japanese
English
臨床報告
食道癌に対する術前療法の意義
The value of preoperative irradiation and chemotherapy for oesophagus carcinoma
竹中 正治
1,2
,
谷田 秀
1,2
,
宗像 雅丈
1,2
,
竹内 隆
1,2
,
谷田 理
1,2
,
阿部 重郎
1,2
,
綾部 正大
1,2
Masaharu TAKENAKA
1,2
1鳥取大学第1外科
2現大阪逓信病院外科
pp.1289-1295
発行日 1973年9月20日
Published Date 1973/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205883
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はじめに
食道癌に対する外科的治療は,新しい手術法の考案,術前の照射療法,化学療法の併用などによつて,かなり良好な成績がえられるようになつてきた.しかしまだ満足できる遠隔成績といえるものではない.その原因としては,食道癌の早期発見の困難性,年齢的因子,長期の摂食制限による栄養状態の低下,過大な手術侵襲などが挙げられる.現在,癌の根治は早期発見,早期治療が遠隔成績を向上させるのに欠くべからざる条件であるが,実際には早期発見は困難で,外科的療法の適応の限界に近いような進行癌が多い.そのような症例には外科的療法の補助的手段として,照射療法をはじめ化学療法がさかんにおこなわれている.ことに遠隔転移病巣に対しては,主として化学療法が期待されるが,症例によつては副作用だけが強調されて,所期の効果をあげえないものが多い.
Bleomycinは1962年に梅沢ら19)によつて発見されたStreptomyces verticillusから製成され,市川ら5)によつて皮膚癌ことに陰茎癌に著効を示すことがあげられている.最近では,これが食道癌の術前化学療法,または切除不能例に対する化学療法として,有効であるとする報告が多数みられる.
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