Japanese
English
特集 癌の補助療法・2
食道癌の術前照射
The Combined Treatment for Carcinoma of the Esophagus with the Radical Resection and the preperative Irradiation
赤倉 一郎
1
,
中村 嘉三
1
,
掛川 暉夫
1
,
保坂 陽一
1
,
久保 脩
1
,
山下 久雄
2
Ichiro AKAKURA
1
,
Hisao YAMASHITA
2
1慶応義塾大学医学部外科学教室
2慶応義塾大学医学部放射線科教室
pp.171-179
発行日 1966年2月20日
Published Date 1966/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203886
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はじめに
1913年にTorek1)が胸部食道癌切除に成功して以来,現在に至るまで食道癌の治療成績向上に対して,幾多の努力が払われてきた.特にわが国の外科領域における,中山教授,桂教授等2)3)の活躍は広く内外の注目をあつめている.しかしながらその遠隔成績を見た場合,食道癌の5年生存率は約10%前後と4)6),他の消化器癌と比較していまだかなり低率である5)6).これらを解決するためには早期発見,早期治療が重要であることはしばしば述べられてきたところであるが8)9),しかし依然としてわれわれが取扱う食道癌患者の大多数は進行癌であることが多い.このような現況においては,食道癌の手術術式のほぼ確立された現在,手術のみによる食道癌の治療成績向上を期待することは困難であり,放射線療法または癌化学療法との併用等,なんらかの補助療法の必要性が強調されている.特に術前照射療法と手術の併用は近年とみに注目され,この併用の優秀性を説く論文にふれることが多くなつて来た10)−14).わわれれも3年前より胸部食道癌を主体に術前にCo−60照射およびLinac照射を行ない,その後手術を施行し,かなりの成果を上げているので,今回われわれの症例を中心に術前照射が食道癌治療に対し一つの優秀な補助療法であることについて述べたい.
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