Japanese
English
特集 急性腹膜炎
胃・十二指腸穿孔治療上の要点
腹腔内洗浄と合併化学療法の意義
The necessity of abdominal repeated purification by saline solution combined antibiotic chemotherapy
渡辺 晃
1
,
村上 穆
1
,
俣野 一郎
1
,
柴崎 信悟
1
,
小林 正義
1
,
加畑 治
1
,
松本 高
1
,
小川 純一
1
,
西野 弘美
1
,
田村 晄一
1
,
福田 欣孝
1
,
軍司 光夫
1
,
野木 東洋
2
,
大関 庸一
3
Akira WATANABE
1
1国立水戸病院外科
2大洗海岸病院
3茨城国保病院
pp.1057-1067
発行日 1973年8月20日
Published Date 1973/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205856
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
研究というのは真理の探究には違いないが,その終局の目的はやはりなんらかの形において人類に貢献するものでなければならないと思う.医学の研究は,本邦では特に学位論文が中心で,それだけを目的とした無味乾燥な研究もかなり多く,実際その研究に従事してきた医師は,忍従の数年間を大学医局において過してきたと述懐する者もかなり多いであろうと思う.というのはあまりにも最近は臨床とかけ離れた研究が多くなつてきたためと思う.さて急性腹膜炎とは,最近までほとんど学会でも問題にされなかつた.つまり大学病院では急性腹膜炎の臨床例が少なかつたので,大学での研究テーマには取り上げられなかつたためであろう.筆者は10年前に国立水戸病院に着任して数多い急性腹膜炎症例に遭遇して,それから真剣にこの問題解決のため臨床的研究を始めたのである.
大学では臨床例が少ないから勢い実験に頼らざるを得なくなり,各種条件下にいろいろな腹膜炎を定量的に動物に起こさせて,その病態生理,ショック発現機序,治療方針等を考究し各群毎に成績を出して臨床例に関する治療方針を打ち出そうといろいろ研究が進められてきた.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.