Japanese
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外科の焦点
腹膜炎の新しい治療法—第1編
Our so-called new therapy for peritonitis:Ⅰ
渡辺 晃
1
,
村上 穆
2
,
俣野 一郎
3
,
柴崎 信悟
4
,
佐藤 定見
4
,
今井 徹
4
,
小林 正義
4
,
加畑 治
4
,
松本 高
4
,
小川 純一
4
,
軍司 光夫
4
,
大関 庸一
5
Akira WATANABE
1
1国立水戸病院
2国立水戸病院麻酔科
3国立水戸病院外科
4国立水戸病院研究検査科
5茨城町国保病院
pp.1567-1584
発行日 1971年10月20日
Published Date 1971/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205453
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はじめに
腹膜炎となればいかなる場合も術後にドレーンを挿入するのが原則で,外科医たるものこの点に疑問を持つ者はないであろう.しかしこの既成概念は抗生物質の発達した現在において覆返せざるを得なくなつたのである.換言すれば頭の切換えをしなければならない段階にきたといつても過言ではないと考える.というのは本論文にかかげた症例の治験例をご覧になれば今までの概念では到底信じられないような症例が次々とでてくるからである.
われわれは国立水戸病院に着任以来過去8年間に156例の各種汎発性腹膜炎,あるいは腹腔内膿瘍例を経験した.初期の頃は閉鎖性ドレナージを行なつていたが,39年の大森例以降はほとんどの症例にまつたくドレーンを入れなかつた.すなわちこれだけの治験例が提示されれば腹膜炎はわれわれの行なつている閉鎖法療法で全治せしめることができると断言しても過言ではないと思うからである.そこで筆者は論文を2編に分けて第1編では症例報告の形をとり,第2編ではこれらの総括について言及したいと思う.学問の進歩をはばむものは時として既成概念である.われわれは昭和38年から46年までの症例をピックアップして順を追つて報告し,概念打破に対する挑戦状として提起してみたのが本論文である.
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