Japanese
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特集 今日の救急
気道熱傷
Burns of the respiratory tract
大矢 英次郎
1
Hidejiro OYA
1
1京都第1赤十字病院外科
pp.187-195
発行日 1973年2月20日
Published Date 1973/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205745
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はじめに
気道熱傷は他の部位における熱傷患者の治療以上に,いろいろの全身処理上の多くの余病に対する処置の必要が生じてくる.従つてその死亡率は非常に高率であることは,Phillipsを始めとし,多くの学者が指摘している.例えば最近の発表をみてもStone & Martinは47.7%の高率を示したと発表している.さらに剖検例からみるとなお高率に気道障害の認められていることは,Sockor & Mallory(68%),Zikriaら(74%),Stoneら(88.9%)も示している.
この気道熱傷については,1942年9月28日491名の生命を奪つたナイトクラブCocoanut Groveの大惨事の際の治療状況が,O. Copeによって報告されたのを始とし,さらにこの事件に関しては臨床所見,レントゲン所見,病理解剖所見はそれぞれAubら,Schatzki,Malloyらによつて報告されている.英国のBull & Fisher,米国のArtzらも1954年気道熱傷の重大性に言及して居り,ボストンの大火の惨事はPhillipsらにより(1960)気道熱傷の重要性を発表させるように至らしめた.その後ますます気道熱傷に対する関心が深まり数多くの発表がなされるようになつてきた.
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