今月の主題 胆道疾患—診療の実際
胆石治療をめぐるトピックス
胆石症の手術適応
窪田 博吉
1
1千葉大第1外科
pp.196-197
発行日 1976年2月10日
Published Date 1976/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206415
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胆石症の手術適応について書かれた論著は数多く見られる.また胆石症の手術そのものも至るところで行われている.大勢をみる時,手術成績は決して悪くないし,多くの患者は苦痛から解放され,健康な者となんら変わるところなく振舞っている.ある者は初めて経験した発作に恐れをなして直ぐに手術を希望し,ある者は長い経過の後に追い込まれた危急から,辛うじて脱出したという違いはあったとしても.
しかし,それとは反対に,手術の結果が思わしくなくて,日常生活にも支障があるにもかかわらず,再手術をすすめられてもためらっている例もある.一方,治療する側にもさまざまな方針がみられる.積極的に手術をすすめる医師もおれば,なるべく手術は先に延ばそうと考える医師もある.この間の消息は書かれた論著のなかにもうかがうことができる.たとえば,手術適応の範囲は外科医に対する信頼度によって伸縮するという卒直な見解もある.幾分抵抗を感じながらも,まことにその通りだといわざるを得ない.また,絶対的適応以外の大多数の症例の手術適応決定は,医師各人の経験知識を基とした主観以外に決め手はないという見解も示されている.ただし,前者は昭和29年,後者は昭和35年の雑誌に記載されているものである.
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