Japanese
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特集 黄疸の外科
肝内胆汁うつ滞症
Intrahepatic Cholestasis
市田 文弘
1
Fumihiro ICHIDA
1
1新潟大学医学部第3内科教室
pp.303-308
発行日 1972年3月20日
Published Date 1972/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205558
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はしがき
一般に胆汁うつ滞(Cholestasis)というのは,肝内および肝外胆管系に胆汁がうつ滞し,血中にall biliary substanceの上昇をみる状態を指して呼んでいる1).また組織学的には肝小葉内,とくに小葉中心部における著明な胆汁うつ滞の所見をさし,肝細胞およびKupffer細胞内のびまん性,あるいは顆粒状の胆汁色素沈着として観察される2-4).このような所見を示すものとしては腫瘍,胆石などによる肝外閉塞性黄疸,すなわち外科的黄疸を除外すると,肝外胆管系の機械的閉塞が証明されないのに拘らず,著明な胆汁うつ滞像を示し,臨床的には肝外閉塞性黄疸との鑑別がしばしば問題になる肝内胆汁うつ滞症(Intrahepatic Cholestasis)が存在する.この一群の肝疾患を外科的黄疸に対して内科的黄疸,あるいは狭義の肝内閉塞性黄疸と呼称する人もある.
このうち比較的経過の短い急性肝内胆汁うつ滞症(Acute Intrahepatic Cholestasis)は病因的にはウイルス性肝炎,薬剤起因性肝障害(Drug-induced Hepatic Injury)の一病型,および特殊型としてRecurrent Jaundice of Pregnancy,Benign Recurrent Intrahepatic Cholestasisなどにおいてみられる.
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