今月の主題 肝疾患のトピックス
問題となる肝疾患
慢性肝内胆汁うっ滞
佐々木 博
1
,
大貫 啓三
1
,
岩下 貞厚
1
1新潟大第3内科
pp.1298-1300
発行日 1978年9月10日
Published Date 1978/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208025
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
胆汁うっ滞cholestasisは肝外閉塞性黄疸におけるほか,肝内外の主要胆管に機械的閉塞ないし狭窄のない場合にもみられることがあり,後者を肝内胆汁うっ滞intrahepatic cholestasisとよぶ.そのうちウイルス,薬剤などによる肝内胆汁うっ滞の多くは数ヵ月以内に黄疸は消退し,予後良好な病型で急性肝内胆汁うっ滞とよばれている.しかし,肝内胆汁うっ滞のなかには原発性胆汁性肝硬変primary biliary cirrhosis(PBC)で代表されるごとく年余にわたって黄疸が持続し,非可逆的な肝病変を示す病型があり,これらを慢性肝内胆汁うっ滞chronic intrahepatic cholestasisとよんでいる.
現在この病型にはPBCのほか慢性薬剤起因性肝内胆汁うっ滞,原発性硬化性胆管炎などがあり,これらの多くは原因不明である1).本稿ではPBCを中心にして述べる.
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.