カラーグラフ 交通外傷シリーズ・3
胸部外傷の臨床
Ⅰ.胸廓の損傷
前中 由巳
1
,
松井 康信
1
,
今村 洋二
1
,
原科 孝雄
1
,
伊藤 隆雄
1
1神奈川県交通救急センター・済生会神奈川県病院外科
pp.382-389
発行日 1971年3月20日
Published Date 1971/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205319
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胸部外傷の原因は種々あるが,交通災害にもとづくものが30〜60%を占めている.大別して胸廓の損傷と胸腔内臓損傷とに分けられる.これら外傷に随伴して起こる血胸,気胸,縦隔血腫,皮下気腫,喀血等の随伴症状が臨床的に認められるのである.
胸廓の損傷は胸壁挫傷が最も多く,ついで肋骨骨折がしばしば認められ,連続骨折が特徴である.一般に第4肋骨から第8肋骨にわたる骨折で,部位は背部が最多で,次で側胸部である.連続数本以上の節片肋骨骨折を前胸部より側胸部にわたり認める場合,いわゆる,Flail Chestの像を呈し,呼吸循環等に著しい障害をきたす.その治癒は胸部外傷治療上の一課題と考える.
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