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特集 胸廓成形術後の妊娠
胸廓成形後妊娠の症例
Pregnancy following thoracoplasty
野嶽 幸雄
1
,
名和 寬二
1
Yukio Notake
1
1慶大産婦人科教室
pp.381-386
発行日 1956年6月10日
Published Date 1956/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201373
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まえがき
妊婦結核の取扱いは社会的,経済的因子は勿論,患者の病態に応じ,多分に個人化して対策が樹てられねばならないが,本邦では,軽症例ですらなお多くは優生保護法の下に人工中絶が行われる現状である。化学療法と外科的療法が躍進し肺結核の治療成績の向上せる今日,妊婦結核の取扱いにも当然再検討が行わるべきで,最近では本邦でも藤森,臼井,加来,水野等の如く待期的処置の可能性の増大を支持する意見は多い。妊婦に於ける気胸,胸廓成形術の成績良好なことは既にOrnstein及びEpstein,Cutler,Schaefer等の報ずるところで,また胸成術後の妊娠,分娩についても良好な症例が認められ,また近年には化学療法と相俟つて妊娠中の肺葉切除例についても報告が見られるに至つた。
この様に欧米に於ては妊娠中,胸成術,肺切除,大量の化学療法等の積極的方針が執られる傾向であるが,本邦では妊娠中の待期的方策として,せいぜい気胸,気腹,横隔膜神経麻痺術,少量の化学療法により,妊娠中の病勢進展の抑制を企図し,分娩後に於て積極策を講ずる傾向である。国立村山療養所に於ける結核妊婦13例(後掲)についても吾々はこの様に処置して概して良好な成績を収めている。
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