Japanese
English
特集 縫合糸の問題点
腸線と合成糸の得失
Catgut and synthetic suture
島 文夫
1
Fumio SHIMA
1
1東京大学医学部第2外科教室
pp.1181-1186
発行日 1970年8月20日
Published Date 1970/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205178
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はじめに
縫合糸,結紮糸は手術に欠くことのできない材料の一つである.歴史的にみても,出血や創傷の処置に縫合材料surgical suture materialが用いられたのは紀元前からのことである.
腸線(surgical catgut)は,西暦200年頃から存在したらしい.1840年頃,腸線は優れた縫合材料として強調されてはいるが,無菌思想がおよばず,感染の問題が解決されなかった.1860年代,無菌手術を始めたListerによつて腸線が用いられたが,感染の問題は満足すべき結果が得られなかつた.Listerはまた,クロム酸に浸漬して吸収の遅い腸線をも使用した.これが現在使用されているクロミックカットグット(chromic catgut)の初めであろう.
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