Japanese
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特集 縫合糸の問題点
心臓・血管外科用縫合糸
Cardiovascular sutures
松本 昭彦
1
,
和田 達雄
1
Akihiko MATSUMOTO
1
1横浜市立大学医学部第1外科
pp.1187-1191
発行日 1970年8月20日
Published Date 1970/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205179
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はじめに
外科縫合糸はその歴史を外科手術と同じくし,動物の毛,種々の植物繊維からはじまり19世紀の末に絹糸を使用することが一般的となつた.その後多少の問題はあるにしても,絹糸の外科縫合糸の中に占める位置は確固不動のものにみえたが,20世紀半ばをすぎる頃より合成繊維が登場し,絹糸の地位をゆるがし,あまつさえ心臓,血管外科の発達がこれに拍車をかけることになつた.とくに心臓や血管に人工代用物を移植したり,細小血管を吻合するさいの合成繊維のもつ優秀さは,この方面の外科の発達を裏から支えたといつても過言ではない.しかし一方において,絹糸のもつしばりやすさ,扱いやすさは捨てがたく,合成繊維との優劣はにわかにはつけにくい.
今回は外科縫合糸を血管・心臓外科領域に限り,われわれが日常使用しているものにつき,その種類と特徴をのべ,いろいろの角度から検討してみたい.
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