特集 屎尿と塵芥処理
各種便所の得失
谷川 久治
1
1千葉大学
pp.26-35
発行日 1957年9月15日
Published Date 1957/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201874
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1.前がき
便所には民族的習慣や地方的特徴により,且つ文化の程度により種々の種類があり,又時代による変遷がある。世界各地の便所を見るに日本式汲取便所や,水洗便所の他に樽式(バケツ式)吸込式,ケンタツキー便所,井戸便所等があり,又欧米,中国,南洋等夫々の特色がある。更に川便所,砂便所,豚便所,容器便所(馬桶)等夫々独特のものであるがそれらについて興味本位の民俗学的な記述は本題の目的ではない。抑々便所の問題は今日我々の直面している屎尿処理の問題と密接な関係にあり,又生活改善としての便所の改良を主眼としている。私はこの意味で便所の得失を考察したい。ただ図面は紙面の関係で最小限度に止める。
一般に便所は都市と農村で相違し,又家庭用と共同用乃至公衆多数用によつても,更に費用の負担力に応じて,設計に自ら異るところのあることは当然である。その他便所の選定には,水道や下水道の有無,溝渠,河川の状態,敷地及び地下水の高低,或いは寒冷,積雪期や地方的習慣等も考慮に入れねばならない。
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