医学と看護
ペインクリニックの看護
佐藤 ヨシ子
1
1東大医学部付属病院麻酔科外来
pp.42-45
発行日 1968年4月1日
Published Date 1968/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913940
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はじめに
患者の訴える症状のなかで痛みは最も多いのですが,私たちの麻酔科外来は発足以来,数多くの痛みのある患者さんの治療に当たってきました。主に各科からの紹介患者を扱いますので,いいかえれば各科診療のワクからはみ出した患者が多いことになります。
患者内容の構成も,ある一定の特徴をもっております。それは発病より受診までの期間が非常に長く転々と医療機関や民間療法をあるいた経験をもっています。高齢者が多いのも特徴です。中にはいささか医療への不信感をいだいている人があったり,また麻酔科という言葉のイメージから,意識をなくされるのではないか,何をされるのだろうという不安があるようにみうけられます。また麻酔と麻薬の差がわからずに混同している人もいて,「マヤク科ですか」という問い合わせに当面することがしばしばです。それだけに内科・外科のように広く一般に知られた伝統のある科と異なって,患者に接する上でも言葉や動作にずいぶん心をくばりきます。また痛みは熱や脈のように計測できませんので,患者の訴えに頼るしかありません。細かく忍耐強く訴えをきいてやることが大切です。そしていつも医師,看護婦,患者が理解と信頼のできるような雰囲気を作る努力をしています。特に当科の主な診療手技である神経遮断術(局所麻酔剤を注射することにより末梢神経,神経節,神経根などで神経の興奮伝導を遮断すること。以下神経ブロックと記述)は,いかにすぐれた手技をもってしても患者の協力なしには成功しません。
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