麻酔の知識・最終回
ペインクリニック
沼田 克雄
1
1専売公社東京病院麻酔科
pp.62-63
発行日 1969年3月1日
Published Date 1969/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914405
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痛みを訴える患者の来訪を受けた場合,医師はどうするであろうか。まず,痛みをおこす原因を究明し,その原因の排除につとめる。この結果,患者のもっている原疾患がなおれば,それに伴って痛みも消失する。──これが診療にあたっての最もオーソドックスな経過である。
“痛み”は疾患そのものではなく,まず原疾患が存在して,その結果,症状の一つとしてあらわれるものと考えられる。だから,痛みの患者を見た時に,原因を考えることなく,鎮痛方策のみを講ずるのは決して正しい治療のあり方ではない。それは単に,対症療法にすぎないというにとどまらず,原因究明のための重要な手がかりを奪ってしまうことにも通じるからである。
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