症例検討会
胆石症を疑つた胆嚢癌
中山 恒明
1
,
織畑 秀夫
1
,
太田 八重子
1
,
羽生 富士夫
1
,
岩塚 辿雄
1
,
遠藤 光夫
1
,
小林 誠一郎
1
,
山口 慶三
1
,
荒木 仲
2
,
沢井 明子
2
1東京女子医科大学消化器病センター外科
2東京女子医科大学消化器病センター三神内科
pp.112-115
発行日 1967年1月20日
Published Date 1967/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204217
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荒木 最初の例は,黄疸と発熱と右季肋部に抵抗がある患者です.普通そういう患者を見たときに,胆石あるいは胆のう炎,また40歳を過ぎていると,なにか胆管を圧迫するような癌でもできているのではないか,ということを疑うわけです.しかも鬱滞性黄疸であれば,ますますその疑いが濃厚になるということなんですが,私達もそういうふうに診断し開腹手術の結果,胆石と一緒に胆嚢癌がありました。さらにまことに複雑といいますか.胆石と癌あるのはそれほど珍しいことではないと思いますが,そこに細菌がでて,しかもチフス菌だったという珍しい症例ですので.手術はすでに終了していますが.ここに報告して,臨床経過を振り返つて参考にしたいと思います.先ず受持の沢井先生から症例について報告願います.
沢井 患者は64歳の男子で,主訴は黄疸です.昭和41年8月初めごろより食欲不振となり,ときどき右下腹部痛があり,同年8月25日に37.9℃の発熱がありました.尿意頻数を伴うので近医を訪れ、腎盂炎の診断のもとに化学療法をうけ,尿意頻数は消失したが,微熱が持続し,黄疸および右季肋部痛が出現し、黄疸が増強するために41年9月2日当科外来を受診し,同日入院しました.
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