随想 老外科医の随想・6
看護婦の問題
中田 瑞穂
1
1新潟大
pp.937-941
発行日 1964年7月20日
Published Date 1964/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203376
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
近頃とみに,看護婦の数の不足とドライ化ということが,医師や病院のほとんどすべてから憂慮されている.これは日本ばかりでなく諸外国でも多かれ少なかれ気付かれている問題らしい.こういう事態に至つた原因には,遠因も、あり近因もあり,かくなるべくして成つたのであろうから,急に慌ててあれこれと思いつき的打開策を講じて見たところで,目に見えた解決が出来ようとほ考えられない,しかし医療においては甚だ深刻な問題であり,何とかして,正しい診療に正しい働きを分担しつつ十分な能力の発揮し得る状態にもつて行かねげならないことはもちろんである.私はこの打開に実力もなく自信もないけれども,現状を見ながら,多少自分の感想をのべて叱正を仰ぎたいと思う.
今日のように看護婦の不足を訴えられるに至つたこと,ずなわち看護婦になりたがらない、またたとえなつても常に不満であり,よりよい他の職業を求めるとか,看護婦として働らくにしても,俸給が安い,勤務時間が多い,夜勤がある,暇がない,と何から何まで不平で、本職もほんの申し訳に時間限だけ表面的にまことにドライにつとめるに過ぎず,も,しもそれを咎め立てすれば,すぐに反撃の体勢に入るというような傾向は,主として戦後世情の激変にもよるものと思う.
Copyright © 1964, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.