発行日 1948年1月15日
Published Date 1948/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906273
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒言
産科學に高年初産婦と言ふ言葉があるが,統計的には大約30歳以上の初産婦を指すことが多く,斯る婦人の分娩は軟産道の伸展性が不良なため一般に難産に陷り易いので,警戒を要すると言ふ意味で特に斯樣な言葉が用ひられてゐる。果してさうであるなちば戰時中から特に戰後の世情では晩婚婦人の増加,從つて高年初産婦も必然的に増加するわけで,産科學上の問題としてもその重要性が加はることになる。
この高年の初産婦では從來軟産道の強靱の他に狹骨盤の合併するものが多く、又原發性竝に續發性陣痛微弱,早期破水,軟産道の裂傷,弛緩出血等が起ることが多いと言はれてゐる。然しながら高年初産婦と言つても唯年齡的限界による命名であるので個人にまつて著しい差のあるのは勿論であつて,要は難産の豫防であるから年齡に餘り拘泥せずに各症例により適當な處置を施し難産を豫防するのが最重要事ではあるまいか。
Copyright © 1948, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.