主張
看護婦問題と病院の対応
S
pp.457
発行日 1991年6月1日
Published Date 1991/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900931
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平成元年に厚生省が発表した看護婦需給見通しでは,平成6年に需給が安定することになっている.しかし,それから2年を経過して,その見通しの難しいことが徐々に明らかになってきている.病院にとって看護婦不足はまさに死活問題であるから,人事では済まされない.従来,看護婦不足の解消には,養成増,離職防止,再就職の奨励等がその対策として提言され,行政の責任が追及されてきた.このような対応が重要であることは当然であるが,近年の出生率の低下,それに伴う人手不足から推測して,看護婦不足は将来ますます厳しさを増すはずである.その意味で,看護婦不足問題の解決には大きな発想の転換が必要になるのではなかろうか.そのためには,行政だけでなく,病院側にも対応しなければならない問題が山積している.
その第1は,看護業務の見直しによる看護職員の必要数の見直しである.現在の医療法,基準看護による定数が,果たして全ての病院あるいは診療科において効率的であるかどうか大いに疑問である.今の基準ではとても足りない部門がある一方で,この基準を守るために相当の看護力を遊ばせてはいないだろうか.仮に見通しどおりに需給が安定したとして,現在の公的病院の100床当たり平均看護婦数は40名に近く,医療法の基準を大きく上回っている.しかもこの大部分が正看護婦である.
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