特集 患者の問題?看護婦の問題!—「心理的ナーシング」とは何か
患者の問題と看護婦の問題
保坂 隆
1
1東海大学医学部精神科
pp.442-446
発行日 1990年5月1日
Published Date 1990/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900116
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“通常でない経過”とは
患者が入院した場合の“通常の経過”とは,自覚症状や他覚所見が改善してめでたく退院したり,専門の治療を受けるために他院に転院したりする場合であり,さらには,不幸にも治療の甲斐なく亡くなる場合も含められる.その意味で,“通常でない経過”とは,治療がひとまず終結することもなく,なんとなく,治療関係が中断されてしまう場合を意味する.これにはいろいろな場合や背景が考えられる.
例えば,患者の側でどうしても治療の継続を拒否する場合や,無断で離院してしまう場合がある.このような時に医療関係者は,患者やその家族の自分勝手さに対する怒りに似た感情を,“自己退院”という言葉で表現する.
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